禁門の変とは
禁門の変（きんもんのへん）は、1864年（元治元年）に京都で発生した戦いです。長州藩が京都の御所周辺で薩摩藩や会津藩、桑名藩と激しく戦闘した事件であり、「蛤御門の変」（はまぐりごもんのへん）とも呼ばれます。禁門の変は、尊王攘夷派と公武合体派との対立が激化し、池田屋事件をきっかけに引き起こされました。この戦いの結果、長州藩は「朝敵」とされ、幕末の動乱を加速させる重要な転換点となりました。
禁門の変の背景
尊王攘夷派と公武合体派の対立
尊王攘夷派は、天皇と朝廷を尊重し、外国勢力を日本から追い払うことを目指していました。これに対して、公武合体派は、朝廷（公）と幕府（武）が協力して国内を治め、外国とも協力関係を築くべきだと主張する派閥でした。
この対立は、1853年のペリー来航と日米和親条約の締結をきっかけに激化します。尊王攘夷派の中心的存在であった長州藩は、外国の圧力に対して排他的な姿勢を示していました。一方、公武合体派には、幕府を支持する会津藩や桑名藩が加わり、対立の構図が明確化しました。
八月十八日の政変とその影響
八月十八日の政変（はちがつじゅうはちにちのせいへん）は、1863年（文久3年）8月18日に京都で起こったクーデターです。この事件では、尊王攘夷派の長州藩と急進的な公家たちが、薩摩藩と会津藩によって京都から追放されました。
原因と経緯
この政変の背景には、長州藩が天皇を巻き込んで攘夷親征を企てたことがあります。孝明天皇はこれに反対し、公武合体派の薩摩藩や会津藩と協力して長州藩を排除しました。天皇を巻き込んだ政変の試みは失敗し、長州藩は京都での発言力を失うこととなります。
影響
八月十八日の政変により、長州藩は京都から追放され、尊王攘夷派の勢力は一時的に弱まりました。しかし、この政変が長州藩の反発を招き、後の禁門の変や戊辰戦争の引き金となり、幕末の動乱を加速させることになります。
池田屋事件による情勢の激化
池田屋事件（いけだやじけん）は、1864年（元治元年）6月5日に京都で発生した事件で、新撰組が長州藩士や尊王攘夷派の志士たちが集まっていた旅館「池田屋」を襲撃し、多数の志士を殺傷・捕縛しました。
経緯
八月十八日の政変で京都を追われた長州藩は、再び京都での勢力回復を目指していました。新撰組は、長州藩士たちが京都でクーデターを企てているとの情報を得て、池田屋に踏み込みました。この襲撃によって、多くの志士が犠牲になり、尊王攘夷派の活動は一時的に停滞します。
影響
池田屋事件により、尊王攘夷派の勢力は大きな打撃を受けました。しかし、この事件は長州藩に強い怒りを与え、彼らの反発をさらに激化させます。結果的に、長州藩は武力行使による京都復帰を決意し、禁門の変へとつながることになりました。
禁門の変の経過
禁門の変（きんもんのへん）は、1864年（元治元年）7月19日に京都で起こった戦いです。長州藩が京都御所周辺で会津藩や薩摩藩と衝突し、激しい市街戦が繰り広げられました。
長州藩の孤立と京都への進発
長州藩内の意見対立
八月十八日の政変や池田屋事件の後、長州藩内では京都への進発を巡って意見が対立しました。急進派の来島又兵衛や真木保臣は、すぐにでも京都に兵を出し、長州藩の行動が正しいことを示すべきだと主張しました。一方、桂小五郎や高杉晋作、久坂玄瑞らは慎重な姿勢を取るべきだと主張しました。
京都への進発
池田屋事件で新撰組に多くの長州藩士が殺されたことが伝わると、藩内の意見は急進派に傾きました。1864年6月、長州藩は京都への進発を決定し、兵を率いて京都に向かいました。長州藩は失った勢力を取り戻し、京都への復帰を目指して武力行使に踏み切ります。
長州藩兵、京都に向けて出発
1864年、長州藩内で急進派が勝利し、長州藩兵は京都に向けて進軍を開始しました。指揮官の一人には久坂玄瑞がいました。彼は吉田松陰の門下生であり、吉田松陰の妹婿でもあります。
長州藩の主張と薩摩藩の動き
長州藩は、八月十八日の政変で藩主に罪がないことや、政変で追放された尊王攘夷派の公家を復帰させるよう主張しました。しかし、朝廷はこれを拒否しました。一方、薩摩藩は会津藩と手を組み、御所の警備に全力を尽くす姿勢を取りました。
戦いの始まり
1864年7月19日、長州藩兵は京都御所の西側にある蛤御門付近で会津藩や桑名藩の兵と衝突しました。この戦いは、長州藩が御所内部に侵入するなど一時的に優勢でしたが、薩摩藩の援軍が到着すると形勢が逆転し、長州藩は敗北しました。
長州藩士の奮闘と最後
戦いの中で、長州藩士たちは勇敢に戦いました。来島又兵衛は蛤御門の最前線で指揮をとり続けましたが、薩摩藩の銃撃隊による狙撃で胸を撃たれ、自害しました。久坂玄瑞は鷹司邸に逃げ込み、朝廷へのとりなしを頼みましたが拒絶され、そのまま鷹司邸で自害しました。
京の火の海と戦闘の被害
禁門の変の戦闘は京都市内で行われたため、広範囲にわたる被害が発生しました。戦闘の結果、京都の中心部は大火に見舞われ、約3万戸が焼失しました。この火災は「どんどん焼け」とも呼ばれ、京都の街を大きく焼き尽くしました。人的被害としては、長州側が約281名、会津・薩摩側が約101名の戦死者を出しました。
戦いの終結とその余波
禁門の変は、長州藩の敗北で終結しました。この戦いの結果、長州藩は「朝敵」とされ、幕府からの討伐命令が下されました。その後、第一次長州征討が行われ、長州藩はさらに厳しい状況に追い込まれました。しかし、この戦いを契機に、長州藩は薩摩藩と同盟を結び、後の明治維新に向けた動きを加速させることとなりました。
禁門の変の影響
長州藩、朝敵となる
禁門の変（蛤御門の変）での敗北により、長州藩は朝廷に対して反逆したと見なされ、「朝敵」の烙印を押されました。これにより、長州藩は幕府からの圧力を受け、藩内での立場が非常に厳しくなりました。
第一次長州征討の開始
禁門の変の後、幕府は長州藩を討伐するために第一次長州征討を開始しました。1864年7月から12月にかけて行われたこの征討では、幕府軍が長州藩に対して攻撃を仕掛けましたが、実際の戦闘はほとんど行われず、西郷隆盛の仲介により和平が成立しました。
長州藩の政権交代とその後の動き
禁門の変と第一次長州征討の影響で、長州藩内では政権交代が起こりました。藩内の改革派と保守派の対立が激化し、最終的に改革派が政権を握ることとなりました。これにより、長州藩は倒幕運動の中心的な存在となり、薩摩藩との薩長同盟を結び、明治維新へと繋がる動きを見せました。
禁門の変の歴史的意義とその後の影響
禁門の変は、幕末の日本における重要な転機となった事件です。この戦いは、長州藩が京都御所周辺で会津藩や薩摩藩と衝突し、結果的に長州藩が敗北したものです。
歴史的意義
禁門の変は、幕府と朝廷の関係、そして各藩の勢力図に大きな影響を与えました。長州藩はこの戦いで「朝敵」とされ、幕府からの討伐対象となりました。これにより、長州藩は一時的に政治的な力を失いましたが、後に薩摩藩と同盟を結び、倒幕運動の中心的な存在となりました。
その後の影響
禁門の変の後、幕府は長州藩を討伐するために第一次長州征討を開始しました。この征討は西郷隆盛の仲介により和平が成立しましたが、長州藩はその後も幕府との対立を続け、最終的には薩長同盟を結成し、明治維新へと繋がる動きを見せました。
禁門の変は、幕末の動乱を加速させ、明治維新への道筋を作る重要な出来事でした。この戦いを通じて、長州藩は倒幕運動のリーダーシップを発揮し、日本の近代化に大きく貢献することとなりました。⛩️🔥📜
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